2017年 北嶺中学校 理科(1)

本年度入試では,例年通り大問は4問,小問総数も昨年とほぼ同じ30問(2016年は29問)でした。


受験者平均は23.6点(2016年36.5点,2015年25.7点),

合格者平均は26.3点(2016年40.8点,2015年31.7点)でした。

受験者平均,合格者平均ともに,配点が50点満点に変更されてからの5年間で最も低い点数です。


本年度の大問1は物理・化学・生物・地学の4分野から単問形式で出題される総合問題でした。

また,大問2は生物分野,大問3は化学・生物・地学分野の複合問題,大問4が物理分野の出題でした。


難易度は,

暗記分野では比較的平易な出題が多く,

計算分野でやや難度が高い出題が多いというのが,

北嶺中学校の例年の出題傾向です。


本年度は大問4の物理分野で,

摩擦力を考えるという,ほとんどの受験生にとって目新しく,

かつ難度の高い出題が見られました。

それに加えて,

暗記分野でも例年よりも難しい出題が目立ったことで,

全体の平均点が低くなったものと思われます。


2017年度の出題内容は,次の通りです。


大問1

総合問題

宇宙ステーションでの実験・気体の発生実験・新元素・水溶液の性質・水と氷の性質

大問2

生物分野

ヒトの体のはたらき(消化と吸収・内臓器官のはたらき)・顕微鏡

大問3

化学・生物・地学分野

地球の歴史(海や生物の誕生)・化石の年代・気体の性質・地球の環境

大問4

物理分野

摩擦力を考えたときの物体のつり合いと運動


今回は,大問1を解説します。

なお、問題は標準札幌校ホームページ北嶺中学過去入試問題からダウンロードできます。




大問1


(1)


面白さ☆☆☆☆☆ 難度C



地球上で,水と油が分離したタイプのドレッシングのビンをふると,

水と油は細かいつぶになって一時的に混ざりますが,すぐに再び分離してしまいます。

これは,水が油よりも重いからで,

水のつぶは下に移動し水の層を作り,油は上に移動し油の層を作ります。

無重力の宇宙ステーションの中では,水にも油にも重さがないので,

水も油も移動せずに,細かいつぶになったままで混ざり合った状態が続きます。

実際に1973年に宇宙船内で行われた実験では,

10時間たっても水と油はまったく分離しませんでした。



ろうそくが燃えるときには,まず固体のろうがあたためられて液体となり,

その液体がしんを上り,さらにあたためられて気体のろうとなったものが,

空気中の酸素と反応して燃えています。

このとき,あたためられた気体はぼうちょうしているので,

ふつうの温度の気体よりも軽くなって上にあがります。

また,周囲の空気もあたためられて軽くなるので,

ろうそくの炎にそって上昇気流が生じます。

このため,ろうそくの炎はたてに細長い形になります。

無重力下では,あたためられた気体が上にあがらないので,

炎は長くのびずに,球に近い形になります。



大変難しい問題で,なかなか実験結果の想像がつきません。

2013年にISSに滞在しているカナダの宇宙飛行士が,

子どもたちのリクエストにこたえて行った同様の実験が,動画で公開されています。

その結果,タオルからしみ出た水は,

チューブのような状態になってタオルの表面,

さらに,タオルをしぼっている両手の表面をおおいました。

また,宙にういたタオルは手をはなしてもほどけることなく,

しぼったままのかたちでただよい続けました。



無重力下では,水は床に流れ落ちずに,

いくつかのかたまりになって,ふわふわと空中をただよいます。


ウの結果を想像するのは大変難しいですが,

「無重力下ではものに重さはない」という知識があれば,

ア,イ,エの結果は予想できるので,消去法でウと答えた受験生が多いはずです。


答え ウ


(2)


面白さ☆☆ 難度A


二酸化炭素を発生させるには,石灰石や大理石,貝がらに塩酸を加えます。


「二また試験管」の使い方は次の通りです。

まず,くぼみのついているA側に固体,くぼみのないB側に液体を入れます。

次に,B側が上になるように(図では左向きに)試験管をかたむけて,

液体をA側に移して固体と液体を反応させます。

反応を終了させるときは,A側が上になるように(図では右向きに) ,

ゆっくりと試験管をかたむけて,液体をB側にもどします。

このとき,A側のくぼみの部分に固体が引っかかって止まるので,

液体だけをB側にもどすことができます。


したがって,正解はオです。


答え オ


(3)


面白さ☆☆ 難度A


「ニホニウム」は,2004年に日本の理化学研究所のグループが合成に成功した113番目の元素で,

元素記号は「Nh」です。


新元素には,その発見者に命名権があるというルールがあり,

2016年11月30日に「国際純正・応用化学連合」という組織が,

グループから提案された元素名,元素記号通りに決定すると発表しました。

化学の歴史上,アジアからの提案で初めて命名された元素になります。


答え ニホニウム


(4)



面白さ☆ 難度A


フェノールフタレイン溶液は,もともと無色の液体で,

アルカリ性の水溶液にのみ反応して赤色に変化します。


問題文から,

塩酸(A液)50mLに水酸化ナトリウム水溶液(B液)80 mLを加えたときに,混合液が完全に中和し,

B液の量が80 mL を超えると,混合液がアルカリ性になって,色が無色から赤色に変化したことがわかります。


答え 無色から赤色


(4)



面白さ☆☆ 難度A


A液とB液は,50:80=5:8の体積比で混ぜると完全に中和することがわかっているので,

A液10 mLを完全に中和するには,B液が,10×8/5=16(mL)必要です。


C液はB液を,80÷40=2(倍)にうすめたものなので,

B液16 mLをC液におきかえると,16×2=32(mL)にあたります。


A液とC液の混合液がアルカリ性になって,液の色が変化するのは,

加えるC液の量が32 mLをこえたときです。

したがって,加える回数は,32÷0.6=53.3・・・より,54回です。


答え 54回


(5)


面白さ☆☆☆☆ 難度C


「復氷」とよばれる実験です。

実験について知らなくても,ヒントから正解を導くことができます。


ヒントの②から,水が氷になると体積が増加し,

逆に氷がとけて水になると体積が減少することがわかります。


次に,ヒントの①から,氷とピアノ線との接触部分に大きな圧力がかかるため,

氷は体積の小さな状態,つまり水に変化することがわかります。


ピアノ線は,とけてできた水の最下部にしずみこんでいきますが,

ヒントの③から,ピアノ線の上に移動した水は,再びこおって氷になることがわかります。

こうして,ピアノ線はどんどんと氷の下部にしずみこんでいきますが,

ピアノ線の上では氷は切られていないという現象がおこります。


本問では,最初のおもりの高さが地上から10㎝なので,

ピアノ線が氷に10㎝だけしずみこむと,ピアノ線の両端のおもりが地面につきます。

おもりが地面につくと,地面がおもりの重さを支えるために,

氷とピアノ線との接触部分には圧力がかかりません。

そのため,氷はそれ以上とけずに,ピアノ線は氷の中にそのままとどまります。


したがって,正解はエです。


答え エ

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