2013年 北嶺中学校 理科(1)

今回は、大問1の化学分野の問題を順に解説していきます。


(4)のBはかなり手ごわい問題ですが、


(1)から(4)のAまでは、是非とも正解したいところです。


なお、問題は、標準札幌校ホームページ北嶺中学校過去入試問題


ご覧になれます。




2013年 北嶺中学校 理科について


2013年度入試から、試験時間が50分から40分に、配点が50点(満点)に変更されました。


大問は4問で、物理・化学・生物・地学の4分野から1問ずつ出題されます。

小問の総数は24問で、昨年より12問減りました。


難易度は、暗記分野では比較的平易な出題が多く、

計算分野でやや難度の高い出題が多いというのが、理科の出題傾向です。


近年は物理分野の計算問題で、受験生の習熟度を試すような出題が続いています。


大問4では浮力の問題が出題されましたが、

この分野の問題を解き慣れていない受験生には、大変難しく感じられたようです。


試験時間は短くなりましたが、小問の総数が少ないため、

それほど時間制限の厳しい入試ではありません。

やはり計算分野が、合否を大きく左右したのではないかと思われます。


受験者平均点は25.0点、合格者平均点は30.5点で、その差は5.5点でした。

一見、得点差が小さいように思われますが、実は大変得点差のつきやすい入試でした。


2013年度の出題内容は、次の通りです。

大問1 化学分野 水溶液の性質・溶解度の計算

大問2 地学分野 川の流れ・地層・百葉箱・太陽・月と地球

大問3 生物分野 植物の葉のつくり・光合成

大問4 物理分野 浮力の計算問題




(1)


難易度A 面白さ☆


加熱して水をすべて蒸発させたときに、あとに何も残らないのは、


気体または液体が溶けている水溶液です。


ここでは、


塩酸(塩化水素という気体が溶けている)、


炭酸水(二酸化炭素という気体が溶けている)


の2種類があてはまります。


残りの4種類の水溶液は、すべて固体が溶けています。


答え アとエ




(2)


難易度A 面白さ☆


うすい塩酸は、鉄、亜鉛、アルミニウムなどの金属と反応します(金属が塩酸に溶ける)。


このとき、いずれの場合も水素が発生します。


また、石灰石にうすい塩酸を加えると、石灰石が溶けて二酸化炭素が発生します。


ここでは、気体が発生しないものを答えるので、食塩とミョウバンがあてはまります。


答え イとカ




(3)


難易度B 面白さ☆☆


算数で習う食塩水の濃度計算と同じ考え方で解けるのですが、

塩酸を水でうすめるという慣れない設定にとまどってしまって、

考えがまとまらなかった受験生が多かったようです。

塩酸を食塩水に、塩化水素を食塩におきかえても、

解法はまったく同じです。


3%のうすい塩酸160gにとけている塩化水素の重さは、160×0.03=4.8(g)。


この4.8gの塩化水素は、もとの32%のこい塩酸に溶けていたので、


32%のこい塩酸の重さは、4.8÷0.32=15(g)と求めることができます。


答え 15g




(4)


難易度C 面白さ☆☆☆


最低でもAは確実に正解しておきたいところです。

Bは、「水」と「上ずみ液」のちがいを、ちゃんと理解しているか

が問われる問題で、実際の試験で正解するには、

相当の習熟度が要求されます。


まずAです。


ここでは、ひとまず水の量を100gとしてみましょう。


60℃の水100gに硝酸カリウム110gを溶かした水溶液の温度を20℃まで冷やすと、


110-40=70(g)の硝酸カリウムが溶けきれなくなって出てきます。


この現象を再結晶といいます。


ここでは、水の量が100gの4倍の400gなので、


溶けきれなくなって出てくる硝酸カリウムの量も4倍となります。


よって、Aは、70×4=280(g) と求められます。


次にBです。


正解するためには「上ずみ液とは何なのか」という理解が不可欠です。


一般には、固体を溶かした水溶液がほう和(それ以上,固体が溶けない状態のこと)していて


溶け残りがあるとき、溶け残りをのぞいたほう和水溶液のことを「上ずみ液」とよびます。


つまり,本問は下のように読みかえられます。


20℃の水に硝酸カリウムを溶けるだけ溶かした水溶液が

300gあります。

水溶液の温度を20℃に保ったままで、

ここから水を100g蒸発させたとき、

残った水溶液に溶けている硝酸カリウムは何gですか。


これで、ずい分わかりやすくなりました。


20℃のほう和水溶液にふくまれる水の重さと、硝酸カリウムの重さの比は、


100:40=5:2なので、硝酸カリウムの重さは水溶液全体の7分の2にあたります。


よって、20℃のほう和水溶液300g中の硝酸カリウムの重さは、300÷7×2≒86(g)です。


ここから、溶けきれなくなって出てくる硝酸カリウムの重さを引けば、答えが求められます。


ポイントは、

水を100g蒸発させたので、

蒸発した分の水100gに溶けていた硝酸カリウムが、

溶けきれなくなって出てくる。

という考え方です。


20℃の水100gに溶ける硝酸カリウムの最大量は40gなので、


Bは、86-40=46(g) と求めることができます。


答え A 280  B 46


※ 問題を読みかえるところまでは何とかたどりつけても、そこからが勝負です。

ここで、受験生がおちいりやすい典型的な間違いの例をご紹介しましょう。


20℃のほう和水溶液300gから、水を100g蒸発させたのだから、

300-100=200(g)のほう和水溶液が残っている。

硝酸カリウムの重さは水溶液全体の7分の2なので、

溶けている硝酸カリウムの重さは、200÷7×2≒57(g)。


一見正しい考え方のようですが、間違いに気づいたでしょうか。


上の考え方では、水が蒸発するときに溶けきれなくなって出てくる硝酸カリウムの分だけ、


水溶液全体の重さが軽くなることが考慮されていません。


自力で模範解答の考え方にたどりつけるように練習を重ねることで、


溶解度計算の理解が深まる良問です。


できるまで何度もチャレンジしてみましょう。




次回、北嶺中学校 理科(2)では、大問4の解説をおこないます。

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